栗畑の脇道

 18,2012 23:50

   いつまでも陽が傾かない
   たそがれどき

   栗畑の脇道
   
   目前を歩く おじいさんを追い越す瞬間

      
  「 こっちから行こう・・・。 」 と言われた。

   散歩中の連れ合いを誘うような
   キッパリ、ハッキリした口調に驚き

   静かに周りを見回したものの   
   おじいさんと私しかいない。


   すると おじいさんは
   
   栗の花の甘い薫りに溶け込むように しっとりと
   民家のブロック塀と塀の間の小道に入り
   見えなくなった。


    
   しばらくすると
   今度は 道の向こうから おばあさん。

    
   腰の曲がった 老婆の肩には緑色の巨大な鳥。

   
   視線がつながると
   老婆は、
   私に向かって笑顔で手を振った。


   私 「 えっ・・・! 」

   老婆 「 〇〇さん家の〇〇ちゃん? 」    
  

    私 「 いいえ違います。( 大きい・・・。オウム!? ) 」

   老婆 「 えっ? 違うの? ソックリだわぁ。 」
  
    私 「  不思議ですね。そんなに似ていますか。
    
                この鳥はオウムですか?  」

   老婆 「 インコですよ。 」

    私 「 喋るのですか? 」

   老婆 「 ええ。 お話しします。 

        今日は阿佐ヶ谷まで行ってきたのです。

         お疲れのところ お引止めしましたね。 」


   巨大インコの緑色の羽はバサバサで艶もなく
   長い間 主と共に過ごしてきたことを物語っていた。
   
   怯えることも 飛立つこともなく
   キョトンとした表情で 上品に立ち去る老婆の肩に佇んでいた。

   
   周りを行き交う人々は
   巨大インコを肩に乗せた老婆に見向きもせず
   いつまでたっても陽が傾かない たそがれどき
   家路を急いだ。

   
    
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