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7冊の本をご紹介の巻 ③

2020/05/16
7冊の本を紹介するリレー
美術ユニット・ReguRegu(レグレグ)さん → 
からご指名いただき バトンを手渡されました。
私の7冊をご紹介していきます。

3冊目は・・・

『  銀の匙  』  中 勘助  岩波書店  1935年

銀の匙

作者は小説家、詩人、随筆家として
極めて独創的な歩みをつづけて来た人である。
幼少年期の可憐な姿を子供だけが持ちうる新鮮で鋭い感覚をもって
描いたこの作品は、かつて漱石が未曽有のものと激賞した。
童心の正義と平和と美へのあこがれとそれが容易に得られない
悲しみとの織りなすふしぎな美しさ。( 解説=和辻哲郎 )

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私は幼少期、共働きの両親が働きに出ている夜までのあいだ、
同じ町に住む祖父母の家に預けられていました。
材木店を営む祖父母の住まいは、
あちこちに階段がある4階層をなした不思議なつくりの古いもので、
下階の曽祖父母の部屋の縁側に面して
こぢんまりした庭と鯉が泳ぐ池がありました。
もぐさのお灸の香りが漂う和室の古い桐ダンスから
曽祖母がくれた溶けかかった薄荷飴やボンボン、
薄暗い納戸の梅干しの瓶の塩の結晶、若くして戦死した叔祖父の肖像画、
新聞広告の裏にちびた鉛筆で描いた落書き、客間のワニの剥製、
居間のシャンデリアのパーツ、すりガラスの模様、ボンボン時計の音・・・
さまざまなカケラが私のなかに息づいています。
私の制作活動の原点です。

『  銀の匙  』、冒頭文が特に好きです。
引き出しの奥にしまってある小箱の中を覗くとき
私自身の記憶と重ね合わせながら
原点を想いながら静かに潜りこんでいきます。






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