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ツナガリ

2011/04/28


 
    数年前の ある日

    はじめて通った古い商店街、
    閉店間近の古い金物屋に吸い込まれた。
    
    木造の古びた商品棚には ホコリばかりで
    残るは木製の什器やら 売れ残りの商品のみ。
    
    偶然の不思議な経緯で
    店番をしていた中年の女性から 
    古い小さなキャビネットを譲り受けた。

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    ペンキの剥げかけた小さなキャビネットの上
    薔薇の写真集のページを開いたまま 壁に立てかけた。
    少し枯れかけた ピンクベージュ色の薔薇
    しっとりした薫りが
    部屋の中に流れ出てくるようで
    いつまでも眺めていた。
    
    写真家・Sさんが その薔薇の前に立っている姿や
    切り取られた時間を想った。

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    数日後、
    その薔薇の写真を撮った写真家のSさんから
    お手紙を添えた小さな箱が届いた。
    Sさんが仕事で渡った海の向こうの
    記憶が詰め込まれた箱だった。

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    Sさんから届いた小さな箱を
    小さなキャビネットの上に置いた

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    日々の小さなツナガリ
    いくつもの 小さなツナガリ
    偶然のツナガリが
    透明な糸に通した淡水パールのように
    やさしく連なっていく
          
comment (-) @ 日記